精油の表記をよく見てみると、略された表記がいくつかあります。
その中でもよく見たり聞いたりするのがアブソリュート(abs.)です。
これは一体何を意味しているのでしょうか。
せっかくの機会ですので、一緒に勉強していきましょう。
アブソリュートは冷浸法を工業的に簡単にしたもの
アブソリュートとは、水蒸気蒸留法で抽出することが出来ない原料を精油にしたときの総称(グループ)です。
本来は冷浸法(アンフルラージュ法)という伝統的な方法で製造されていました。主に花弁の芳香成分を抽出するために行われていた製法です。この冷浸法はとても手間がかかり、時間と人件費がかかるというデメリットがあるために現在はもうほとんど生産のために使われる方法ではありません。
有機溶剤抽出法とは
高い温度で香りが壊れてしまう成分や不揮発性の重い分子、水に溶けやすい酸類が多い成分を持つ原料は、揮発性有機溶剤(石油エーテルやヘキサン、アルコールなど)を利用して低温抽出をします。これを揮発性有機溶剤抽出法と呼んでいます。
ー有機溶剤抽出方法ー
①使用される原料に有機溶剤を加えて芳香成分を溶かし出す。
②有機溶剤を蒸発させて除去すると、コンクリートと呼ばれる芳香成分の塊が残る。
③このコンクリートにエタノールを加えて冷却し、不要な物質を取り除く。
④さらにワックスを除去する。
この製法で製造された精油は水蒸気蒸留法による精油よりも濃縮されているために華やかで濃厚な香りの精油です。
原料の部位によって違う総称
有機溶剤抽出法で製造される原料は花だけではなく、樹脂、果実、種子、根茎とさまざまなものがこの方法で抽出されています。そしてその抽出される部位によって総称が違います。
アブソリュート Abusolute(Abs.) | 花(葉) | ジャスミン・ローズ・ミモザ・ネロリ・チュベローズ・バイオレットリーフ・イランイランなど |
レジノイド Resinoid (Res.) | 樹脂 | フランキンセンス・ベンゾイン・ミルラなど |
オレオレジン oleoresin | 果実・種子・根茎 | オレンジ・グレープフルーツ・レモン・ベルガモットなど |
精油のラベルの表記に英字(Abs.)などが表記されていたりすることもありますよ。
あと、アブソリュートとレジノイドは覚えていた方が良いです。
有機溶剤によるメリットとデメリット
やはりどの抽出方法にもメリットとデメリットがあります。ここでは有機溶剤で抽出する場合のメリットとデメリットを知っていきましょう。
メリット
・熱を利用して抽出しないためデリケートな植物にも使える方法。
・水蒸気蒸留法や圧搾法よりもはるかに濃縮された精油になる。
・また、他の抽出法で取り出すことの出来ない芳香成分を抽出することが出来る。
デメリット
・有機溶剤が精油に残ってしまう場合もある。
・粘度があって扱いづらい。
いかがでしょうか。
デメリットにある項目ですが、本当に粘度が高いです。しかし、そこに関しては精油のブランドやメーカーから『Abs.10%希釈』や『ホホバ5%希釈』など、ラベルに表記されてあるものがあります。これは高価な精油を安く販売できるようにしたり、ドロっとした粘性の高い精油を使いやすくするためにあらかじめ希釈して販売されていたりするせものです。こういったところも購入のときにはチェックしてください。
デメリットに関してなのですが、個人的に一言だけ言わせてください。
この『残ってしまう場合もある』という言い方なのですが、この考え方によってはトリートメントでは使えないという方もいらっしゃいます。しかしこれは比率を考慮すべきだと考えています。なぜならば、多くのスキンケアやヘアケアにはアルコールなどを含んでおり、それらを私たちは使用しているからです。
また、この考え方は1950年代と言われているうえに現代の高レベルな化学使った精油だと考えると、アロマとして取り入れないのはもったいないのではないかと思います。
よくある質問
- Qローズにもローズ・オットーとローズ・アブソリュートがありますが、この違いはなんですか。
- A
これは抽出方法の違いです。
ローズ・オットーは水蒸気蒸留法で得られた精油、ローズ・アブソリュートは揮発性有機溶剤抽出法によって得られた精油の違いです。
抽出方法が違いますので香りに違いもあります。
今回はアブソリュートが有機溶剤抽出法であることを紹介しました。
伝統的な冷浸法が溶剤抽出法なったおけげですぐ購入できるような環境になったのですね。しかし、個人的には冷浸法で製造された精油も香ってみたい気がします。
それでは。
皆さんの参考になりますように。