クレイとは、日本語で『粘土』という意味の鉱物です。何千年〜何億年単位ででき上がってきた地球の歴史といっても過言ではありません。そんなクレイはアロマクラフトに欠かせない基材のひとつでもあります。ここではクレイについて基礎から応用まで詳しく解説していきたいと思います。
クレイの主な働き
ミネラル成分が肌を整えてくれる
クレイ(粘土)は各種産業や陶芸などにも使用されていますが、アロマで用いられるクレイは汚染されていない土地から採掘された純度が高いものです。大地のミネラル(シリカ・マグネシウム・鉄分・カリウム・ナトリウム)がたっぷりと含まれたクレイは、肌細胞の向上や血流の循環を促すと言われています。また、体の巡りを整える酸化マグネシウムやハリや弾力を与える酸化アルミニウム、血行を促進し肌色を整える鉄分のほか、カリウムやリンなどのさまざまなミネラルが含まれています。
毛穴の酸化やたるみに有効な吸着力
クレイは吸着力が高いため、肌にぴったりと密着していらない汚れや古い角質をはがす働きがあります。そのため肌に長時間溜まって酸化した皮脂、鼻などに詰まりやすい角栓などの除去にも最適です。頭皮や髪に使えば、皮脂の調整をして頭皮環境を良くしてくれると言われています。
汗やニオイ対策、抗菌効果も
消臭効果が抜群とも言われているクレイ。クレイを小さな袋に入れて靴に入れたり、玄関に置いておくと消臭できます。同時に殺菌や除湿もできるという優れもの。クレイをボディパウダーにしたり、スプレーにして使えば体臭防止にも使える代物です。
余分な老廃物を取り除いたり、電磁波除去も
クレイの独特な分子構造が老廃物や毒素を吸着するという性質を持っています。また、電磁波やむくみ、有害金属の除去にも効果的なクレイもあります。
クレイの種類
クレイにはいくつか種類があり、主にカラー(色)で分けられています。含まれるミネラル成分や吸着力の強さで分類されることが多いです。ここでは種類や特徴の他に、おすすめの使い方も併せてご紹介していきます。
色(カラー)で分ける
ホワイトクレイ/WhiteClay
- 主な鉱物 カオリナイト
- クレイの吸着力 吸着作用が弱めの初心者向けのクレイ。敏感肌の方におすすめです。
- 特徴 微粒子のとてもソフトな感触のクレイです。ボディーパウダーや歯磨き粉など幅広く活用できます。また、スキンケア全体のベースになり、吸着作用が1番優しいです。
- どんな肌向き 乾燥肌・敏感肌・普通肌・脂性肌
ピンククレイ/Pink Clay
- 主な鉱物 カオリナイト・イライト・マイカ
- クレイの吸着力 吸着作用が弱めの初心者向けのクレイ。敏感肌の方におすすめです。
- 特徴 ホワイトクレイとレッドクレイをブレンドした、肌にふんわりと優しいクレイです。敏感な肌や初めてクレイを試してみる人におすすめです。
- どんな肌向き 乾燥肌・普通肌・老化肌・頭皮
レッドクレイ/Red Clay
- 主な鉱物 イライト・マイカ・カオリナイト
- クレイの吸着力 ほどよい吸着作用の中級者向けのクレイ。お肌がクレイに慣れてきた方におすすめ。
- 特徴 しっとりとした肌触りが気持ちの良いクレイです。フェイシャルから全身のディープクレンジング、入浴剤やフットバスで楽しむことができます。
- どんな肌向き 普通肌・老化肌
イエロークレイ/Yellow Clay
- 主な鉱物 カオリナイト・クォーツ
- クレイの吸着力 ほどよい吸着作用の中級者向けのクレイです。お肌がクレイに慣れてきた方におすすめです。
- 特徴 すっきりとした使用感のクレイです。ほどよい吸着力を持ち、毛穴のクレンジングや引き締めケアに最適です。
- どんな肌向き 敏感肌・老化肌
グリーンクレイ/Green Clay
- 主な鉱物 イライト・マイカ・クォーツ
- クレイの吸着力 吸着作用が強めの上級者向けのクレイです。しっかり角質ケアしたい方におすすめ。
- 特徴 ミネラル成分が豊富なグリーンクレイ。クレンジング力が強く、脂性肌やニキビ肌のフォロー、ボディケアに最適。
- どんな肌向き 脂性肌・普通肌・ニキビ肌
ブラウンクレイ/Brown Clay
- 主な鉱物 スメクタイト
- クレイの吸着力 吸着作用が強めの上級者向けのクレイです。しっかり角質ケアしたい方におすすめ。
- 特徴 洗浄力と吸着力に優れたブラウンクレイ。ペーストにするとジェル状になり、肌当たりはマイルド。デトックス用としておすすめ◎。
- どんな肌向き 脂性肌・ニキビ肌
原産地で分ける
さらにカラーで分けたクレイをさらに細かく分類すると、鉱物により分けることができます。
モンモリロナイト
フランスの火山から採掘されるクレイです。キメが細やかな薄い緑色をしていて、水分を非常に多く抱え込むため吸着力が強いのが特徴です。
マイナスイオンを帯びているため、プラスイオンを帯びた皮脂などをよく吸着して抱え込む性質があります。また、お肌に乗せたときに乾きにくく、肌表面を保湿する被膜効果もあります。特に脂性肌や角栓の気になる方のフェイスパックにおすすめです。
カオリン
市販のクレンジングや洗顔料にも配合されることが多い白色のクレイです。中国で採掘されます。皮脂を吸着して落ちやすくしてくれるので、過剰な皮脂分泌や肌のベタつきが気になるときのお手入れにも向いています。
ガスール
モロッコ原産の赤茶色が特徴的なクレイです。スティーブンサイトという鉱物を主成分としており、水に溶けたときに粘土やミネラルイオン化する性質が高いクレイです。酸化鉄などのミネラルが豊富に含まれており、汚れを優しくオフしながら肌に潤いを与えてくれます。
ベントナイト
アメリカで採掘されるクレイです。緑がかった灰色が特徴で、汚れを吸着して肌を清潔に整えてくれます。重量の8倍も水分を吸収することができるうえに皮脂を吸着するパワーに優れているので、肌のテカリやベタつきをやわらげたい時にぴったりです。肌のバランスを整えて、陶器のようななめらかな状態へ導いてくれます。
シーシルト(沖縄の泥でマリンシルト、クチャとも呼ばれています。)
シーシルトは温暖な気候の沖縄の海からとれる、ミネラルやアミノ酸を豊富に含む泥です。キメの細かい粒子と大きい粒子という異なる大きさの粒子を含んでいるので、皮膚表面の汚れはもちろん、毛穴に詰まりやすい細かな汚れをまで吸着し落ちやすくしてくれます。汚れを吸着するパワーが高いので、肌のゴワつきが気になる時や男性のスキンケアにも向いています。
一気にクレイの種類や特徴をご紹介しました。「やってみたい!」と思ったクレイはありましたか?ここにあるだけでもたくさんありすぎて選ぶのが難しいですよね。実は私もそのひとりでした。ここからはクレイの選び方について解説していきます。
クレイは肌質や悩みに合わせて使い分けましょう
クレイは種類によってテクスチャーや保湿力が異なります。特に皮脂を吸着して肌のバランスを整えてくれるカオリンや、シーシルト、レッドクレイは脂性肌や混合肌におすすめです。また、肌のテカリが目立ちやすいおでこ、角栓ができやすい鼻周りの部分パックにも向いています。
一方でミネラルをたっぷりと含み、肌にうるおいを与えてなめらかに整えてくれるモンモリロナイト、ガスールはカサつきやすい乾燥肌や敏感肌のお手入れにもおすすめです。パックで肌が乾燥するのが心配な場合は、クレイの種類をチェックしながら選んでみましょう。
意外とたくさんあるクレイの注意事項
呼び名は違えども世界で愛用されてきたクレイ。難しい禁忌はほとんどありませんが、クレイを扱うにあたりいくつかの注意点がありますのでご使用の際には守ってお使い下さい。
- 金属との接触を避ける
クレイを金属に触れさせた状態にしておくと、金属を錆びさせ腐食させる作用があります。最も気をつけてもらいたいのが体内に金属製の物がある場合です。口腔内のインプラントや金属製のボルト、ペースメーカー、金属製の避妊具などです。その部位への使用は使用しないようにしましょう。保存に関しても金属を使った容器に保管することはしないようにしましょう。
- お風呂での使用
クレイをバスタブに入れてクレイバスをするときには、栓や蛇口回り、排水溝などの金属部分への配慮が必要です。特に自動循環式(追い炊き式)のお風呂の場合、風呂釜に金属が使われています。循環を止めてからクレイを入れて、使用後は真水で少し循環させてきれいにクレイを洗い流して下さい。
- クレイの保存方法
クレイパウダーは湿気や香気を吸いやすいです。密封できる容器に入れて、湿気と高温になるところを避けて保存して下さい。また、そも際の保存容器にはプラスティック(PET製)やガラス、陶器の素材を選び保管しましょう。
保存場所には直射日光の当たる場所をおすすめします。日光に当たることでクレイの特性を保ち、その有効成分を活性化させる助けをしてくれます。ただし、温度が極端に高い場所は避けましょう。高温過ぎるとクレイの質感が変化してしまいます。
- 使用済みのクレイの処理
使い終わったクレイパウダーは、再利用することはできません。少量でしたらシンクから流しても問題ないようです。量が多い場合はキッチンペーパーなどで包んでゴミ箱に捨てるようにしましょう。
- クレイの作用
クレイパウダーは、人それぞれ作用が違いますし、同じ人でも体調によっては作用がいつもより強くでる場合があります。十分に観察しながら様子を見て安全にご使用になってください。
- 必ずパッチテアウトを行なってください
クレイを含む手作り化粧品ができあがった後に少量とりパッチテストをしてください。肌に塗って5分ほど放置し、その部分の刺激があるかどうかで判断できます。ピリピリ、チクチクした刺激感、ムズムズした痒みや違和感が感じられたときは、すぐにクレイを洗い流しましょう。洗い流した後にカサカサと乾燥するようなときは、そのレシピが強すぎたのかもしれません。次に行う際にはキャリアオイルなどを増やすレシピにかえるなど調節してください。つっぱりやドクンドクンと脈を打つような感覚は、クレイが働いている作用と考えます。判断が難しいときは、腕の内側などの狭い範囲で試してから行うとよいでしょう。
また、クレイも雑貨扱いのものに当たりますので、使用する際には自己責任で使うようにしましょうね。
クレイはこんなふうにして使えます
クレイパウダー
ボディーパウダーとして使うことができます。スキンケアや制汗、デオドラントなどのシンプルながらもクレイの働きをストレートに実感できる方法です。
クレイペースト
クレイ湿布やボディーパック、ヘアパック、フェイスパックなど、水を混ぜるだけのシンプルなものから精油などの香りを加えたものまで幅広く楽しめる方法です。
クレイバス
粉末のまま入浴剤として使う方法です。身体をクレイで優しく清潔にできる他にも、入浴後にはそのまま掃除ができて一石二鳥です。
今回はこの中でもクレイペーストを作って精油を混ぜたクレイパックを作ってみましょう。
クレイパックの作ってみましょう
肌を元気にしてくれるクレイパック
材料
・クレイ(お好きなクレイ) 大さじ1.5くらい
・精製水(フローラルウォーターでも可能です。) 大さじ1くらい
・精油 (お好きな精油) 1〜2滴
・小皿(混ぜるときに使います。)
・ヘラまたはスプーン(混ぜるときに使います。)
作り方
①小皿にクレイを入れ、そこに少しずつ精製水やフローラルウォーターで伸ばしていきます。
②混ぜたら精油を入れてよく混ぜれば出来上がりです。
使用方法
パックはマヨネーズくらいの硬さが理想です。お肌全体に優しく載せていくようにしてください。集中してケアしたい部分は厚めにパックするのがおすすめです。
流すタイミングはパックが地割れしたようになる前(乾燥してしまう前)にしましょう。地割れした状態だと肌の必要な水分まで取ってしまうことになります。
クレイパックは週に1〜2回の使用にしましょう。
また、使用後はいつも通り保水保湿を忘れないようにしましょうね。
私はクレイパックを入浴のときにやっています。入浴の最後に湯船に浸かりながらパックをすることでリラックスタイムを作るようにしています。この方法だと浴室で行なっている分、香りをより感じることができます。
パックと聞くと手間がかかりそうですが、このクレイと精油をアレンジした自分だけのパックなら継続して楽しみながら行うことができます。また、実際に使ってみるとクレイの効果でお肌が明るくなることを感じられるはずです。(実際に私がそうでした。)自分へのご褒美の時間のひとつとしてぜひ利用してみてください。