精油の抽出方法である『圧搾法』。
レモンやグレープフルーツなどのシトラス系を抽出するときに使われる方法です。
皆さんは圧搾法と聞いて、どんなことをイメージしますか?
ここでは圧搾法に関連することを分かりやすく解説していきます。
圧搾法とは?
圧搾法とは、シトラス系の果皮から精油を抽出する際に使われる方法です。
昔は手で果皮を搾り、海綿に染み込ませる方法や、エキュエル法と言って、内側に尖った突起がたくさんある漏斗のような道具で果実に傷をつけて果汁を集め、上澄みに浮いた精油を抽出していました。この方法で抽出された精油は、加熱をしていないためフレッシュな香りが魅力ですが、酸化しやすいのが難点です。
抽出の方法
このように、過去の圧搾法は労働力とコストがかかるため、現在は新しい科学技術を利用した圧搾法が開発されました。この方法は、途中に熱を加えずに果皮を圧搾して精油を得るので冷温圧搾法(コールドプレス/CP)と呼ばれています。ただし、テルペン類の一部などが変質しやすいこと、原料植物の搾りかすのような不純物も含まれてしまうために成分変化(劣化)が早く起こってしまいます。
圧搾法で抽出される精油
- オレンジ・ビター/Citrus sinensis
- グレープフルーツ/Citrus paradisi
- ベルガモット/Citrus bergamia
- マンダリン/Citrus reticulate
- ライム/Citrus aurantifolia
- レモン/Citrus limon
- ユズ/Citrus junos
- タンジェリン/Citrus reticulata
- アンジェリカルート/Angelica archangelica
- クミンシード/Cuminum cyminum
- アンジェリカシード/Angelica archangelica L.
グレープフルーツ、レモン、オレンジ・ビター、ベルガモット、ライムなどの圧搾法で抽出された精油には注意が必要ですが、なかでもベルガモットに1番多く含まれているため最も注意しなくてはいけません。
そして、以前はオレンジ・スイートやマンダリンにもベルガプテンが含まれているとされてきましたが、最近に調査によってほとんど反応を起こさないということがわかったので注意事項には入っていません。
また、シトラス系ではないですが、光毒性を持つとされる精油にアンジェリカルート、アンジェリカシード、クミンシードがあります。
シトラス系の精油において注意するべきところ
新鮮でフレッシュな香りを楽しめる反面、光毒性(ひかりどくせい)に注意しなければいけません。
光毒性とは、ある特定の精油が皮膚に着いたとき、紫外線が当たることによって色素沈着や炎症などが起こってしまうことです。この原因となる不揮発性の芳香成分にはベルガプテン(ベルガモットのみ)、フロクマリンが該当します。
これからアロマをやっていくにあたって、肌が敏感な方や成分が気になる方、フェイシャルで使ってみたい方はこういった精油を利用するようにしましょう。
光毒性がないシトラス系もある?
シトラス系の精油である『プチグレン』と『ネロリ』は光毒性がありません。どうしてなのかわかりますか?実は抽出部位が果実ではないからです。プチグレンは『葉と枝』、ネロリは『花』ですもんね。
さらに、シトラス系の精油であっても『水蒸気蒸留法』で抽出されたものであればフロクマリンが殆ど抽出されないので光毒性の心配がありません。
でも、圧搾法の精油を使いたい。そんな時はフロクマリンを除去した精油を使いましょう。それらを『フロクマリンフリー(FCF)』と言います。
また、ベルガプテンだけを除去した精油もあり、それらは『ベルガプテンフリー(BGF)』と言います。