精油は天然なもので安全だと思いがちですが、植物を高濃度に濃縮したものでとてもパワフルです。使い方を間違えてしまば効果を得られないばかりか思わぬトラブルになってしまうこともあるので注意が必要になってきます。今回はアロマを始める前に知ってほしいガイドラインをまとめました。厳選して12つを紹介します。
原液を直接肌に塗布しない。
ラベンダー、ティーツリー、ラバンサラは、狭い範囲の場所であれば原液で皮膚に塗ることができますが、それ以外の精油は植物オイル(ホホバオイルなど)で希釈して使うようにしてください。肌が弱い方は上記の3種も希釈して使うことをオススメします。
絶対に飲まない。
海外では内服の事例もありますが、それはその国の医師による判断です。精油は飲むことと皮膚からの吸収では身体への影響が異なったり、神経毒性や皮膚刺激のある精油が一部あったりします。ですので決して自己判断で飲まないでください。最悪な場合には肝臓や腎臓に支障をきたす場合があります。
万が一飲み込んでしまった場合は水や牛乳などで身体から排出し、それでも体調がすぐれないときは病院にて診察を受けるようにしてください。
また、お子さんやペットに関しては吐かせずに病院で診察を受けてください。どちらも受診のときに精油を持参しましょう。
使用できる精油の量を守る。
身体が精油を代謝できる量は限られています。日本人の場合、大人が1日に使用できる量は5〜6滴です。(1滴0.05ccの場合)
また、精油の濃度が濃すぎたり長期間使用したりすると、吐き気や頭痛、皮膚のアレルギーなどの症状を引き起こします。その際は直ちに使用を中止し、皮膚を洗い流したり換気をしたりしてください。
他には同じ精油を毎日2週間以上使わないことです。次に使用するときは1種間ほど間を空けて使うようにしてください。スキンケアは1ヶ月を目処に他の精油に変えてみることをおすすめします。
パッチテストをする
敏感な体質やアレルギーを持っている場合は精油との相性を見るパッチテストを実施してください。精油と混ぜるキャリアオイルのみを腕の内側に塗布し24時間様子をみます。その後、キャリアオイルと精油を混ぜたら、同じように24時間様子をみます。その後に違和感を感じた場合は大量の水で洗い流してください。また、症状が改善しないときは病院で診察を受けるようにしてください。
使用期限・保管場所を守る。
精油は天然なものです。安全に使用するためにも使用期限を守ってください。劣化(酸化)が進んでしまった精油は皮膚の炎症を引き起こすトラブルの原因です。薬理作用も低下しているので本来の効果は期待できません。そのため、スキンケアやヘルスケア、掃除などにも使用することはしないでください。
基本的に開封してから1年、シトラス系は半年を目安です。
火気周りで使用しない。
ご存知の通り精油には引火性があります。そのため、火の周りでは使用してはいけません。
また、キャンドル式の芳香拡散器を使う際も注意してください。
光毒性・光感作に注意する。
セリ科のアンジェリカやミカン科のオレンジ、グレープフルーツ、ベルガモット、マンダリン、ユズ、レモンの精油の中には、皮膚についた状態で紫外線に当たってしまうと『光毒性』と、アレルギーを起こす『光感作』を起こすものがあります。原因は芳香成分であるベルガプテンをはじめとするフロクマリン類です。ですので、紫外線にあたる前に使用しないようにしてください。
特にベルガモットは要注意です。
しかし、近年はこのベルガプテンを取り除いた精油もあり、精油の学名には“FCF”と表記されています。
※FCF:ベルガプテンフリーの略
光毒性
精油を皮膚に塗った状態で紫外線に当たってしまうことで起こってしまう皮膚の炎症のこと。
紫外線のチカラを吸収した成分が、色素沈着や炎症反応などを起こしてしまいます。
シトラス系の精油に注意が必要ですが、特にベルガモットは気をつけてください。
光感作
皮膚に塗った精油成分が身体に入り、紫外線に当たることでアレルギー反応が出ること。
塗布したところ以外にも症状が出ることもあり、少量でも反応が出る場合もあります。
精油は薬ではない。
精油には身体や心、皮膚を健やかにする働きがありますが、決して薬ではありません。不十分な知識と経験であるにも関わらず、急性期の疾患などで使用すれば、取り返しのつかないことにもなりかねません。
また、知識と経験が増えるにつれて精油のちからに頼りがちになってしまうこともあります。
しかし、急性の疾患や精油を使ってしまったりして手に負えなくなった状態のときは、迷わず病院で診察を受けてください。
アロマなどの東洋医学は、未然に防ぐ、予防するという意味で使用します。命に関わるようなときは必ず病院へ行きましょう。
通院中、投薬中は必ず医師や薬剤師に相談する。
精油にはお薬の薬効を妨げてしまうものが含まれていることがあります。通院中、投薬中の方は精油を使用する前に必ず相談をしましょう。
また、お薬が変更になった場合もお尋ねください。
妊娠中、授乳中は精油の選び方には細心の注意をする。
心身がデリケートになる妊娠中はアロマが大きなサポートをしてくれます。重要な役割を担ってくれる反面、この期間は安全な使い方で精油を利用していても、通常では起こらないような反応があったりします。
まず、妊娠初期は全ての精油の使用をしないでください。安定期に入っても子宮を刺激する精油や毒性が強い精油は使えません。肌も敏感になりやすいので少量から利用してください。希釈して使用する場合は1%濃度で使用することを推奨します。
他にも授乳中の期間は精油を使用してから2時間以内の授乳をしないでください。
乳児・幼児・子供・高齢者
成長過程にある子供は、大人よりも敏感で外部からの影響をとても受けやすいです。環境が変わったりと突然の違いにも過敏になる傾向にあります。
乳児(0〜1歳)は基本的に芳香浴のみです。その芳香浴も芳香蒸留水に留めておいてください。
成長過程にある幼児(3歳〜)は大人が使う量1/2の濃度、1/10の時間で行うようにしましょう。使用できる精油はラベンダー、ティーツリーのみです。
子供(8歳〜)と高齢者(65歳〜)基本的に大人と同じ方法ですが、精油の量を半分の濃度で使用してください。
ペットへの利用
最近はペットにもアロマの利用が増えました。しかしながら、人間との身体の大きさはもちろんですが、ペットは精油の代謝が異なるために使用することはかなり難しいです。
また、猫やフェレットはフェノール系の化合物の代謝が出来ないとされているので、精油を使ったケアは推奨しません。
どうしても使ってみたいという方は、やはり獣医師や専門家に相談してからの使用にしてください。